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NPO法人 鬼首山学校協議会

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NPO法人 鬼首山学校協議会事務局です! 大崎市鳴子温泉の鬼首(おにこうべ)地域で行われるイベントや交流会、観光案内など、鬼首のいろいろな情報を紹介しています!

あれから1週間

あれから1週間が経ちました、早朝の禿岳です。
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静かに落ち着いた景色に見えますが、6時半には街が動き出しています。
雪の日は4時頃に始まりますから、今日は春基準ですね。春分の日も近い。

今日は今朝の鬼首の様子と、「山学校ブログ管理人」ではなく「鬼首に一人住まいの私」として、お届けします。私の失敗を記録しておきます。

11日、地震があった時、鬼首山学校・事務室に一人で仕事をしていました。
アレ?と仕事の手を止めて様子を伺っている内に大きく揺れ始め、この吊るされた蛍光灯が天上まで暴れていました。
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驚くことに、後ろの棚からは何も落ちていません。

異常事態だとはすぐに分かっても、次の行動を判断できず、逃げるべきか、机の下に隠れるべきか・・・ただただ椅子に座って、ガシャンガシャン激しく揺れる蛍光灯を見つめていました。
終いには、何故これほど揺れているのに落ちないのだろうか?何にもぶつからないのだろうか?と蛍光灯から目が離せなくなりました。

結局、他の部屋で仕事中だった職員達が揺れる中、校内を見回り、私に気づき、逃げるように誘導。数人に怒鳴られた事で、仕方なく立ち、玄関から校庭に出ました。
それでも、まだまだ揺れは続き、校庭の木々も右に左に大きく曲がっていました。

「念の為、フェンスからは離れた方がいいよ」
と言われても、横揺れに立っていることができなくて、どう重心を保てば良いのだろう、とずっと考えていました。
それからも揺れる景色を皆で眺めていました。その位、長く揺れは続きました。

やっと止み、職員たちは、事務室の棚から落ちた額のガラスの破片を片付けたり、部屋の真ん中まで大きく動いた印刷機とコピー機を戻したり、他の部屋や体育館まで被害を確認に見回ったりテキパキ動く中、私はずっと揺れが続いている気がして、ただ玄関で外を眺めていました。
自分が少しでも動くと、揺れているのか、気のせいなのか、全く区別ができなくて、何もできず、ただ眺めていました。

今思えば、ドアを開けてくれたことにも感謝しなければなりません。
出入り口の確保、全体の状況確認、冷静で勇敢な行動でした。
私には何もできなかった。

外出中の校長たちも戻り、自宅を確認するように指示されたので帰宅しましたが、街は静かでした。
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何人かを見かけたとも思いますが、その日は傘をさしていた為か、(そう、何かが降っていた。)普段の様な挨拶は、誰とも交わしていません。

部屋に戻ってからは、揺れているとか考えている余裕は無くて、とりあえず点検。
停電と、リンゴが一つ落ちた事と、クローゼットの扉が開いていた程度で(それはクローゼット内部の上段から下段に物が一つ落ちたことで開いたようだ、と後に気づきましたが)、他は何も変わりがありませんでした。

まだ日があって良かった。非常用持ち出し袋からラジオを探し、懐中電灯・・・しまった!電池が傷んでいる。買い置きでも足らず、ガス湯沸かし器の電池を取り外す事に。
その後すぐに、隣に住む大家さんに状況を報告、戻って、まず水を貯めました。

とりあえず親に連絡、と思ったら沢山の安否確認メールが!しかも、携帯電話は電池切れ寸前。親には一言だけメールをして、他は後で考えよう。

停電ということは、暖房が無い。ガスはある。湯たんぽと厚着と布団で凌ぐしかないな。
火から離れるのが怖いので、お湯が沸くのを前でじっと待ちました。
その用意ができて、完全に日が落ちました。

そこで、やっと座って、ラジオをつけて、大変な状況になっている事に気づきました。
どうしよう?未だザクザクとメールを受信している様子。誰に連絡すれば良いんだ?
とりあえず何か口にしておこうと、慌てて食べてみる。

さて、携帯電話を開くと電池を失ってしまう、なるべく長持ちさせるには・・・設定を変更すること・・・あぁ、時間の問題だ・・・一気に操作を済ませること。
171・・・それを皆が見るだろうか?
連絡してきた相手をザラッと確認後、誰に連絡するのが効率的に私の無事を広く伝えられるだろうか?と悩んで確実な数件だけをメール送信。
携帯の通話どころか、メールも繋がりにくいという事に気づいて、ひとまず固定電話を確認したら、あれ?繋がる!

実家に電話し、兄弟にも伝える様にお願いし、慌てて切る。
他に固定電話が通じるところ・・・懐中電灯で住所録と年賀状から探す。
・・・皆無だ・・・みんな、電話番号も書いておきなさいよ!とおかしな八つ当たりをしてから、以前の勤務先に連絡することを思いつく!・・・市外局番でさえ思い出せない・・・もう一度、手帳を探し直して、私を心配していた方々に繋がった事にとても感謝しました。

そこで力尽きて座った途端に動けなくなり、立とうと思う度にガタガタ揺れがあり・・・それまでも揺れはあったはずですが思い出せません。それ程に慌てていたということです。

揺れとラジオから聞こえる悲惨な緊急速報と寒さに負け、171をしなくては・・・トイレ・・・どれも悩むだけで、立ちたくても、すぐに揺れが来るから怖くて動けない。いつのまにか、携帯の充電は切れました。
夜でも横になることはできず、すぐに逃げ出せるように座ったまま毛布を被り過ごしました。

そうしている内に寒い朝が来て、外からは酷い風の音。
日があれば多少は暖かくなるかも・・・でも隙間風が寒そう・・・窓を開ける気にもならなくて、やっとのことで立った時には、固定電話も切れていました。

夜が明けた頃から、沢山の車の音。
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秋田へ向かうのか?鳴子に下るのか?そこまで判断はつきませんが、とにかく恐ろしいスピードの音が続きます。
ご近所も皆さん、出かける音がします。

気を確かにしなくては、と思っても、何もできません。
週末、仕事は休みなので急ぐことはないかと諦めました。

ラジオは益々恐ろしい状況を伝えるし、外でも慌てている音がする。
とりあえず私にできることは、普段の生活を送る事・・・雪かきをしよう。
動いたついでに湯たんぽを入れ替えて、後はひたすら揺れに耐える。

揺れる。逃げ出す必要があるかな?と考える。ラジオの速報を待つ。
ひたすら、その繰り返し。

静かにしていると、一層、外の声が聞こえる。
そんなにスピードを出さないで!慌てるのも分かるけど、中にいても怖い。
バタンバタン、ご近所の車のドアの音も、会話も聞こえる。
「~だって!」
様子は明るいから、被害や災害では無さそうだ。
停電だから、石油ストーブなど普段は使わない火で暖をとる家庭が多いだろうと思うと、火災の危険がより高まる。どこで何が起こっているのか、外の状況を無視することはできない。
でも、聞こえてくる感じでは、世間の噂話と、どこで何が手に入るのか、慌てて買いに行く話の様でした。

惑わされてはいけない。正しい情報だけを聞かなければならない。
ぐったりしていたらドアをたたく音がして、私の状況を確認に来て下さったとの事。
そこでようやく落ち着き、今、何を用意しなくてはならないか、と考え始めました。

家財は何も動かなかったけれど、とりあえず床に置いておこう。
逃げる際に持ち出すものも集めなければ・・・着替えや生活用品を揃え、貴重品をかき集め、最低限の住所録を作り・・・それだけで、寒さと揺れで動く気も失せ・・・今、何時だろう?

ラジオの時報も、聞きたくないけれど聞かなければならない悲惨な情報と一緒になって流れ続けていることは分かっていたけれど・・・時計を置いた方が良いな。
このままだと永遠にこの状態が続く気がしてしまう。
眠らない、眠れないので悶々と考え事ばかりしてしまう。
気をそらそうと思っても、揺れる、寒い、聞こえるのは想像もしたくない状況ばかり。

そうして、2度目の朝が来ました。
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因みに、私が見た月曜からの鬼首商店街は、いつもより忙しそうでした。繁盛という言葉は相応しくありませんが。
帰省した方々や、学校がお休みになってしまった子供達で普段より街に人が多いような気がします。

さて、2度目の朝が来たことは分かっても、状況は何も変わっておらず、ひたすら耐える。
段々、気分の悪さに動く気も無くなる。
寝不足と・・・そうか、食べていないからか。立ちあがった時に、少量の水分と、何かを口にはしたはずですが、思い出せません。

ラジオから、エコノミー症候群に注意と聞こえて、あぁ、ずっと固まっていたのも良くなかった。と反省し、体を動かしてみる。

本でも読んでみようかと思うけれど、本を支える手も顔も冷たいし、揺れで本も読めないし、気が散ってばかりで、無理して読んでも内容も入ってこず・・・諦めて、毛布で寒さと揺れに耐えることを続ける。

ラジオから安否確認の情報が流れてくるようになると、連絡をつけることができなかった友人たちが気にかかる。何も連絡する手段はないので、ただ祈る。

翌朝は月曜、出勤日。目覚ましだけは用意して、寒い夜、長い夜を耐える。
結局、揺れでトイレにさえ立てない、と思う内に夜明けは来る。


出勤して、ここの鬼首には2次被害が無い事を知る。
皆が慌てていたのは、やはり買い物・普段通りの生活か~と実感する。

伝え聞いた情報や、周りの行動に流されてはいけない。
余計な心配をしてはいけない。
今、究極に困っていることはない。
買い物でも、お風呂でも、慌てる事はない。
私には幸い、家族はココにはいない。私を探していることもない。
慌てないで自分の健康を守る事、他は後で良い。

この月曜日・地震から3日目に通電してからは、考える事が変わってきます。
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今日も幸せな事に信号は機能しています。

テレビで見る悲惨な映像、物資や安否情報を求める悲痛の声。ラジオが伝えていた通りでした。

2日目からは布団で寝る様にはしましたが、変わらず、ウトッとしたかな?と思う事はあっても、全く時間が進んでいない、朝もやってこない、眠れない夜でした。
その暗い中、携帯がメール受信を始めた事に気付いたのは朝4時。驚きの受信数。
その中に、「災害用伝言板にあなたのメッセージ登録を希望している方がいます」というメールを見た時には、自分にガッカリしました。なぜ登録しておかなかったのだろう。どれだけ心配をかけたのだろう。
携帯の電波が安定しているとも限らないので、朝にはメールを済ませた方が良いだろうと、真っ暗の中で、ひたすら返事のメールを送る準備をしました。

仕事から帰った後は、こちらから探し出さなければならない友人に連絡をとりましたが、自分からのメールを受信することで携帯の電池を奪ってしまうかもしれない、と私からの連絡をただ大人しく無事を祈って待ち続けたと聞くと、申し訳なさに泣きたくなりました。
今すぐにでも会いに行きたくなりましたが、私が動く事で余計なエネルギーを使ってはいけません。交通・流通の邪魔をしてもいけません。
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市営バスがお休みなので「笑顔の待合室」にも人はいません。

今、ここで私にできることは何だろう?

家族や友達を安心させるには、きちんと連絡を取り、無事で健康にいること。
正しい情報だけを信じて、世間に惑わされないこと。
慌てないで、良く考えてから行動すること。・・・燃料も電気も商品も、今の私が絶対に必要なものだろうか?と考えると、買い物に行く気も起らないし、薄暗くても、寒くても健康さえ害さなければ、我慢の範囲。小さな事でも控えることが協力に繋がっているはず。
そして、無事を信じること、祈ること。日本の力を信じたい。


昨日、固定電話が繋がったお陰で、やっと家族の声を聞きました。
鬼首はこの無事な状況ですから、無事と伝えるしかないのですが、ずっと気を張っていたのか、あの日以来、初めて、きちんとご飯を食べました。そして、初めて、記憶の無い夜を過ごしました。夢も見ず、速報も見ず、ゆっくり眠ることができたようです。

今日は鬼首小学校、卒業式の予定でしたが延期です。
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でも、まだまだ揺れています。
余震だけではなく、隣が席を立ち、机が動いただけで、地震か?と怯えてしまいます。
立ったり座ったりすると、自分が動いたのか、周りが動いたのか、判別がつきません。
これは、この実害が無い、鬼首で過ごしている私の話です。

今、できることは何だろう?
by yamagakkou | 2011-03-18 16:44 | 鬼首

by yamagakkou